本間美術館と文化財,和菓子
貴重な文化財との出会い


江戸時代に北前船の寄港地として栄えてきた山形県の庄内地方に位置する酒田は、

全国各地から多くの物資と共に貴重な美術品などが伝わっており、

その中でも最も貴重な品は国、県、酒田市の指定文化財となっております。

本間美術館では開館以来これらの貴重な文化財の研究や調査を行い、そして公開に努めてきました。

先人たちによって守り伝えられた文化財は地域の歴史と文化を見つめ直して

新たな文化創造の核になることでしょう。

企画展【本間美術館と文化財】(4月11日~5月30日)は、本間家や篤志家からの寄贈や美術活動における収集により収蔵された文化財をご紹介するものです。
歴史や文化の営みを肌で感じて、そして伝統ある酒田の和菓子との融合で味を感じて楽しく文化財に対する認識と理解を探求していただけたらと今回のコラボレーション企画【本間美術館の文化財と和菓子】をおおくりいたします。


高麗青磁象嵌平茶碗と 練り切り【東根菓舗東月堂さん】

高麗青磁象嵌平茶碗

山形県指定文化財に指定されている
高麗青磁象嵌平茶碗は高麗時代・14世紀頃に制作された作品で高麗青磁特有の翡色が美しく、全体に見られる貫入に侘びた風情を感じる茶碗です。

また、象嵌(彫った溝に別の色の粘土を入れて模様を表す技法)により、外側には雲鶴と草花入丸文を表し、内側には五つの方向に大きく草花文が表されています。


この茶碗は庄内藩主酒井家より本間家に伝来し、同家では貴人の接待に使い珍重されたといいます。

この
高麗青磁象嵌平茶碗と本間美術館の庭園・鶴舞園に春の訪れからインスピレーションを受けて誕生した練り切りが東根菓舗東月堂さんの【春景(しゅんけい)】です。
東根菓東月堂練り切り

池に映る咲き誇る桜をあしらい、実際に池に住んでいる亀を表す夫婦亀甲をおした縁起の良い上生菓子に仕上げました。
練り切りの原材料には手亡豆(てぼうまめ/白いインゲン豆)を使っており、こして色をつけて、とても綺麗なグラデーションを描き、見てとても楽しめるデザイン。菓子楊枝を入れるとスゥーっと緩やかな硬さを手先に感じることができ、何とも言えない妖艶な柔らかさが伝わってきます。
そして優しい甘さが口の中に広がり、抹茶を流し込むと「絶対的な日本」を味わうことができるでしょう。

この「春景」の練り切りは、東根菓子舗東月堂さんにて発売しております。
尚、期間中、
本間美術館・清遠閣の喫茶室でも4月15日から毎週土・日とGWにお飲み物(抹茶または珈琲に+¥100で)数量限定にてご利用できます。

抹茶,上生菓子,清遠閣,喫茶室
清遠閣,珈琲,上生菓子,喫茶室
和菓子に合うオリジナル珈琲[MIYABI・雅]を提供いたします。


まもなく創業150年を迎える東根菓子舗東月堂さん


菓子づくり
創業明治9年(1876)まもなく150年を迎える和菓子専門店の東根菓子舗東月堂さん。
現在は五代目ご主人が切り盛りしていますが息子さんの東根康平さんが六代目を継承します。
お店を代表する菓子に「山吹まんじゅう」があります。新鮮な卵黄をたっぷり使った皮が、ほんのり山吹色をしているとこから名前が付いたそうで、雑味のないスッキリとしたむき餡のなめらかな舌触りが味わえます。
山吹まんじゅう,東根菓舗東月堂
東根菓舗東月堂さんが創業時から作り続けている山吹まんじゅう

どら焼きも美味しいんです。
小豆と生地がぴったりとしたバランスの良い甘みを出しており、
生地を和菓子職人が一枚一枚手焼きして、つぶあんをたっぷり挟んで仕上げています。こちらも幅広い方々にご利用されています。
東月堂東根菓舗,どら焼き
昔懐かし味のどら焼き

東根菓舗東月堂の[東月堂]はお茶席での屋号だそうで、昔から茶席の場面ではよく東月堂さんの茶菓子が使われてきました。これからも伝統菓子を作りながら、時代にあった菓子作りも視野に入れて取り組みを行っていくという姿勢は、和菓子に対して若い世代にも伝わっていくと思います。
「きっと当店の和菓子は珈琲やお酒にも合わせることが出来ますよ」と次期6代目は言います。

東根菓舗
次期6代目の東根さん

東月堂店舗
《お店情報》東根菓舗東月堂
山形県酒田市中央西町1-16  TEL:0234-22-1956  ◾️9:00〜17:30 日曜定休(祝日営業)
東根菓舗東月堂さんのオフィシャルサイト



酒田袖之浦・小屋之浜之図と酒田むすめ【菓匠菊池さん】
酒田袖之浦・小屋之浜之図

酒田袖之浦・小屋之浜之図は江戸時代中期に制作され、港口を中心に、山王社(現、日枝神社)や神明社(現、皇大神社)などの寺社や公方様御穀積所(幕府領米置場)、寺町通り、仲町などの街並みが描かれており、現存する酒田を描いた絵図としては最古級です。
袖之浦には「此浦ニ着船ハ千石余ノ大船ナリ」、小屋之浜には「此浦ニ着船ハ六七百石已下ノ小船ナリ」と記してあり、沖に停めた北前船から荷物を運ぶために、たくさんの小船が港から出ていた事が分かります。

菊池,酒田,酒田むすめ
酒田むすめ,菊池
地名が入った菓匠菊池さんの【酒田むすめ】は、しっとりとしたバター風味の生地で餡を包み焼き上げた菓子で、酒田を象徴する菓子の代表格です。
まもなく創業140年を迎える菓匠菊池さん。本店は街の中心街にあり、まさにこの地図にふさわしいお菓子。看板商品の【酒田むすめ】は酒田大火で店や工場も焼けてしまい、復興目的から生まれた菓子だそうですが、パッケージや味は当時からかわっていないそうです。

菊池,酒田むすめ桜
酒田むすめ桜,菊池

小豆・コーヒー・やきいもの3つの味があり、今は春限定の桜味があります。
常に新しい菓子を考案し、お客様に提供することを心がけているそうです。

ヨーグルトタルト

庄内の自然豊かな環境からとれる食材を生かした菓子作り

【月山高原ブルーベリーチーズケーキ】は鶴岡市羽黒の無農薬・有機栽培にこだわる「月山高原・鈴木農園」で収穫されたブルーベリーを使用したり、【鳥海高原ヨーグルトタルト】は鳥海山麓の標高500ⅿの澄んだ空気と、綺麗な水に囲まれた鳥海高原牧場で生産されたヨーグルトを使ったり、地場物を使う事でこだわりを持った菓子作りを心がけているそうで、ますますこれからの菓子作りに期待したいですね。

6代目02
6代目の菊池さん
菊池店内
《お店情報》菓匠菊池
本店/山形県酒田市二番町8-19   TEL:0234-26-3331  ◾️10:00~18:10
工場/山形県酒田市東町1丁目26-7  TEL:0234-26-3334 ◾️10:00~18:30
菓匠菊池さんのオフィシャルサイトへ




小原慶山《異人形容図巻》とカステラ【龜屋菓子舗】

小原慶山 異人形容図巻
小原慶山(?~1733)は長崎派の画家で、長崎奉行所から唐絵目利と御用絵師に任ぜられました。
現存する作品は非常に少なく、人物画・花鳥図の他に、喜多元規の作風を踏襲した黄檗画像が確認されている。
形容図巻は長崎港に来航した異人の風俗を描いた図で、江戸初期から数多く制作されました。
長崎港に来航した異人の風俗を描いた図は、江戸初期から数多く制作され、中でも本図は非常に丁寧に描かれ、慶山の画力がいかんなく発揮されてた秀品の一つと言えます。
(描かれている人物/大明人・大明女・大明人兒共・清朝南京人・清朝女・清朝人・清朝人兒共・南京商人・福州人・漳州人・廣南人・東京人、他)

亀屋カステラ
【カステラ】は海を渡って鎖国中の日本にやってきました。和菓子とも洋菓子ともいえるカステラは今尚、多くの人に愛され食されている菓子。龜屋さんの人気のカステラは生地はきめ細やかでしっかりしているのが特長で、甘さをおさえた味。一言でいうととっても食べ応えがあります。異国情緒ある菓子はこの収蔵品と何か惹かれるものがあるようでした。

酒田の四季折々とともに菓子作りをし、目を楽しませてくれる
わったまんじゅう,亀屋
まんじゅう
創業は明和2年。酒田で最も古い老舗菓子店で、昔からまんじゅうやどら焼き、先代から継承されている【まんじゅう】があり、これが何とお安いんです。
「これでも値上げしたんですよ」とご主人。連日完売のわけがわかります。
その他洋菓子も人気で、アーモンドスティック、定番のレモンケーキなど珈琲にあう菓子がたくさんあるので、何を買おうか迷う楽しみがあります。

アーモンドスティック
亀屋レモンケーキ,包み
亀屋レモンケーキ,断面
7代目店主の伊藤さんは、若い時に川崎の和菓子屋さんで修行したのちに帰郷。
先代の6代目から細々と洋菓子を始めましたが、7代目が「毎日同じ菓子を作っているが、もっと美味しい菓子を作ろう」と思い、試行錯誤して商品開発に力を入れはじめました。
そして今のカステラは群を抜く人気商品になりました。

亀屋店主
7代目の伊藤さん
亀屋店内
亀屋店頭

伊藤さんは「継承してきた基本の作り方に忠実であり、余計なものは足さない。しかし和菓子は日本の伝統食の一つで世界を相手にできるものなので、時代にあったものも作りたい」と仰っていました。
是非、お店に足を運んでみてください。

《お店情報》龜屋菓子舗
山形県酒田市本町3-1-1  TEL:0234-22-1992  ◾️9:00〜19:30 元旦、火曜日
龜屋さんの情報はこちら(酒田さんぽ)


色絵葡萄鳥文瓢形水注 と いちご大福【栗原甘泉堂さん】
色絵葡萄鳥文瓢形水注
酒田市指定文化財の色絵葡萄鳥文瓢形水注は、肥前国(佐賀県)有田にて柿右衛門様式でつくられた把手つきの色絵水注です。
柿右衛門様式は、濁手と呼ばれる乳白色の素地に余白をいかして色絵を配した磁器で、主に海外向けにつくられました。

ここでご紹介するのは【栗原甘泉堂】さんの【いちご大福】。
胴部が膨らでいるところなど【いちご大福】にそっくり。人気商品で、モチモチ感と甘いいちごと餡との相性が絶妙です。連日お客様が絶えないくらいの人気ぶりで、いちご大福は酒田まつりの時季まで販売されるそうです。
栗原甘泉堂,苺大福栗原甘泉堂いちご大福小包
連日大人気の いちご大福
酒田市内でも数少ない、きな粉団子で有名な栗原甘泉堂さんは創業は明治45年(1912)。
金つば、月餅、ゆべしなどは昔から作っていて、今は紅白饅頭ですが昔は木型を使って作る祝い菓子も作っていて見た目も大きかったそうです。だから家族みんなで分けながら食べていたようで良き時代を物語っています。
栗原甘泉堂,木型
栗原甘泉堂,きな粉だんご
青きな粉
栗原甘泉堂,きな粉団子
本間美術館文化財
唐物大海茶入と月餅
山形県指定文化財の中国・南宋時代に制作されたと言われる、唐物大海茶入 銘 大内海(からものたいかいちゃいれ めい たいないかい)唐物茶入は鎌倉時代から舶来され、室町時代の茶の湯では特に賞玩されました。産地では香辛料などを入れる壺として使用されていましたが、日本では茶人たちが抹茶を入れる茶入として見立てたといわれています。明治20年(1887)代、旧庄内藩主酒井忠篤から本間家六代光美が拝領しました。箱には酒井家の蔵番「三拾二番」が記されています。栗原甘春堂さんの【月餅】も見事な細工模様を施していて、少し小ぶりで食べ易く見ても楽しめます。月餅は中国の伝統菓子で 春節、清明節、端午節と並ぶ中国の四大伝統行事のひとつ「中秋節」のお供え物として作られたのがはじまりだと言われています。 
栗原甘泉堂,月餅

もう一つオススメなのがどら焼きの種類の中に【女鶴餅入りどら焼き】があります。
女鶴(ねづる)餅は粘りが強く、ふんわりした食感。明治時代には本間家からの依頼で女鶴餅米で作った餅を皇室に献上したそうです。
栗原甘泉堂,女鶴餅,どら焼き
栗原甘泉堂,どら焼き栗原さん
店主の栗原さん
栽培することが難しくその米作り自体が途絶えてしまっていましたが、近年、研究の末に再び栽培されるようになった希少な餅米の【女鶴】。

是非、そのどら焼きを味わってみてはいかがでしょうか。

《お店情報》栗原甘春堂
山形県酒田市二番町6-1  TEL:0234-24-9212  ◾️9:30 ~16:00 月・火曜日
栗原甘泉堂さんの情報はこちら(酒田さんぽ)


和菓子に合わせた、和菓子のためのオリジナル珈琲

MIYABI
珈琲島(カフェフード)さん考案の和菓子に合うテイストの珈琲が完成しました。
練り切りをはじめ様々な和菓子を食して、何度も焙煎作業を行い出来上がった特別な珈琲。
是非、試してみてください。きっと和菓子の味を更に引き立ててくれるでしょう。
以前珈琲島の取材をさせていただいた記事もご覧ください。
日本一になった焙煎職人【珈琲島・本間さん】(酒田市・鶴岡市)
珈琲島,焙煎,コーヒー珈琲島,ホームページ制作,山形市
考案したカフェフードさんの本間さん
miyabi
★MIYABI雅・珈琲は珈琲島(カフェフード)さんの下記のお店で取り扱っております。
また、本間美術館・清遠閣の喫茶室でも4月15日土曜日からご利用できますので
お気軽にご利用ください。
《お店情報》珈琲島(カフェフード)
コープ 中の口店    山形県酒田市東栄町10-37  TEL:0234-24-0770  ◾️9:30~20:00 不定休(水曜臨休たまにあり)
鶴岡協同の家こぴあ店  〒997-0010 山形県鶴岡市余慶町1-2 TEL:0234-24-0770  ◾️10:00~20:00 休業日 鶴岡こぴあに準ずる
珈琲島さんのオフィシャルサイト

期間限定のコラボ企画になります。
ご紹介いたしました商品は各店舗にてお買い求めになれますので、是非、この機会にご利用ください。